いつもこのままではいけないと思ってきた私

私は 19年間企業に勤める会社員として、結婚した女性として過ごす中で、いつも生きづらさを抱えて過ごしてきました。
今振り返ると、「あの時こういうことを知っていたら、こうしていたら」という思いがたくさんあります。
今の自分からあのときの自分に掛けてあげたい言葉、それを今必要としている方にお伝えすることができればと思います。

 

アクセサリーの製作をしながら感じてきたこと


19年勤めた会社を退職した後、うつ症状での療養生活からのリハビリをかねて始めたアクセサリー製作を仕事としてするようになりました。

はじめはショップサイトの立ち上げや製作、イベント出展など忙しくしていることが楽しく、必死でやってきました。

少し落ち着いてきたとき、ふと、自分はどんなものを作っていきたいのか、何故アクセサリー作りをするのかがわからなくなってしまいました。

アクセサリー作家をしている多くの友人の作品を見ては、もっと技術を向上させなくてと焦ったり、他のメニューも増やしたほうがよいのではないか、販売方法を工夫しなくてはいけないのではないか、とショップ運営の方法に疑問を持ったりすることも増えてきました。

このような気持ちで過ごしていると、楽しくて始めたはずのアクセサリー作りをしたいという気持ちが小さくなり、製作やショップサイトの更新もできない状態に陥りました。

慢性的に「私はこれでいいのだろうか?」という不安がつきまとっていたと思います。

慢性的な不安の正体


自分で見ないようにして来た自分の気持ちがあります。

「長く勤めてきても辞めてしまえばただのおばさん。歳もとってしまったし、もう若い時のようにきれいでもない。会社勤めで身につけてきたことを生かせる場面などない。20年近くも勤めたのに何の役に立たない自分が寂しく、虚しい。夫が躁鬱病になどならなければ私は仕事を辞めなくて済んだのに。何故自分はこんな思いをしなくてはならないのか。」

過去、自分に起こったことが未完了のままになっていたために、慢性的な不安がずっと頭をもたげていたのです。

自分の過去と向き合う


この状態に陥っていた時、友人の紹介で心の学びをする講座に出会います。

その講座では、相手の心に寄り添うためには自分の心が満たされていることが必要であり、自分で自分の心を満たすための知識・実践の両面から学びます。

私には二つのニーズがありました。

過去の未完了の体験を完了とするためのプロセスを踏み、自分を満たすこと、そして、結婚して以来悩んできた夫とのコミュニケーションを改善し、お互いが寄り添える関係を築くことの二つです。

(後者は前回のコラムに綴った通りです。)

前者については、これまでネガティブな体験にはフタをして見ないようにして来たために、置き去りのままになっていました。

それがことあるごとに不安の感情として表出し、私のすべての動きを止めていました。

おもてなし心理学と出会い、講座を受講する中で自分の感情が揺り動かされた体験を中心に振り返り、それが今の自分にどのようにつながってきているのかを問う作業をしてきました。

今回の一連のコラムもその延長上にあり、さらに深い振り返りの機会となっています。

私に足りなかったこと


会社勤めをしている間、会社から推奨される資格、業務に必要な資格取得のための勉強をしてきました。

いつでも何かを学んでいたように思います。

でも、それらは仕事のため、特によく考えてみると会社や他人から評価を受けるためにしてきたものがほとんどでした。

いつも他の人からの評価を気にしている自分がいました。

そして、どんな資格を取得しても自信がつくことはなく、いつでも何かしなくてはという焦りを持っていました。

おもてなし心理学と出会い、自分の過去の振り返りをしていて気づいたことは、私がこれまで自らの心を満たすための学びをしてこなかったということです。

自分の心を満たすために学ぶということ自体、思いもよらないことだったともいえます。

自分の心に穴が空いたままにしていると、いつまで経っても心が満たされることはなく、外から次々いろいろなものを入れようとしてしまいます。

そして、外から取り入れるものは心に空いた穴からどんどんこぼれてなくなってしまうために、いつまで経っても自信がなく、不安がつきまとうのだということに気づきました。

心の穴を塞ぐこと


私にとって、過去の出来事を振り返る作業が自分の心の穴を塞ぐことに直結していました。

このコラムに綴ってきたような自分の心の不調のこと、夫の病気とそのケア、夫とのコミュニケーションについての悩み、子供を授かることができなかったことなど、そのどれもが辛いことではありましたが、どれもこの20年を形成してきた大切な部分であり、今それらを振り返ることで、この先自分がしていくことへのヒントへと結びついています。

私が得てきたものとこれからの役目


私は蓋をして見たくないようなこの20年の中の経験をこうして皆さんの前に広げています。

そんなことをしてどうするの?と思われるかもしれません。

何故お見せするのか、それは、今私と同じような思いをしている方、同じ思いから抜け出せずにいる方に見つけていただきたいからです。

辛い思いをしていた当時の自分にかけてあげたい言葉、教えてあげたいことがたくさんあります。

コーチングやお話し会を通じ、そのようなことを今辛い思いをしている方と共有し、ほっと一休みする場を提供できる存在になりたいと思うようになりました。

歳をとってしまったと悲観していましたが、社会人になりたての頃のような若さが無い代わりに、20年という時間を精いっぱい過ごしてきた自分には今心からの笑顔があります。

いろいろな思いを味わってきた自分を今は愛おしく思え、その自分だからこそ寄り添うことのできる方がいると思えます。

その方たちの心の木が完全に倒れてしまう前の添え木のような存在、再び笑顔になっていただくまでの介添え人でいたいと思います。

アクセサリー作りについても、自分が何故しているのかがわからなくなっていましたが、答えは同じところにありました。

私の作るアクセサリーや雑貨を手にしてくださった方の気持ちをほっと和ませるような気分を味わってほしい、そんなもの作りをしたいのだということがわかりました。

もの作りをしようとするとき、高度な技術を望めばキリがなく、自分が何を目指して作るのかがはっきりしていないと、次々新しいものを学びたくなります。

それもよいのですが、今は自分の手の中にあるもので何ができるのかをよく見極め、そこから生み出せるものをご提供していきたいと思っています。

ようやく、自分の作りたいものの方向性をしっかり認識できた思いです。

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